今年も梅を漬けた話
この時期に梅シロップを漬けるようになって今年で6年目になる。
生協でお知らせが来たら青梅と砂糖を注文して、届いたらへたを取って凍らせて、翌日に瓶に詰める。時々かき混ぜつつ放置すると、ひと月もすればとろんと甘く、すっきりした味のシロップになる。暑い中、水や炭酸水でうすめて飲んだり、かき氷にかけたりして楽しむのだ。
へたを取るのは子供の仕事。今年は青梅を2キロ買ったが、去年はまだ戦力外だった4歳児もへた取り職人2号として活躍してくれたのであっという間に終わってしまった。
毎年すぐに飲んじゃうからもう1キロ買い足してもいいかなあ、あんまり飲まないけど梅酒も仕込みたいなあとか思っている。
あなた毎年よくやるわね、と母に言われた。
おばあちゃんの影響かなあとわたしは答えた。
母が梅を漬けたという記憶はないが、近くに住む祖母は、この時期になると庭に何本かある梅の木から実を収穫しては、梅酒やシロップを漬けていた。
祖母の家に行ったとき、シロップを薄めてもらって飲んだのが、わたしの原体験だ。
そうして梅を漬けるのがすっかり恒例行事になったわが家なわけだが、「いつまで梅シロップを漬ける?」と8歳児が聞いてきた。
「みんなで一緒に暮らしてる間は毎年漬けるかなあ。おばあちゃんのシロップを貰うのがうれしかったから、孫が生まれたら飲ませてあげたいなあ」とわたしは答えた。
そうか、孫に梅シロップを飲ませるのがわたしの夢なのかと口にして初めて思った。
祖母はおととし亡くなって、梅の木ももうない。