5分ずれた世界

先月、職場が模様替えをした。

模様替えというか別の部署で使わなくなった備品が私のいるフロアに運び込まれたのだが、その結果、フロア内に壁掛け時計がふたつになった。

 

私のデスクから向かって右側と左側、それぞれの壁に時計がある。

なんか変だなと思っていたら気がついた。右側の時計は5分遅れていて、左側の時計は5分進んでいるのだ。

5分遅れと5分進み、片方だけならともかく、それらが共存する空間はなかなか不思議だ。向きを180度変えるだけで10分ワープしてしまう。

 

思い出すのは「世界五分前仮説」と村上龍の小説「五分後の世界」だ。

 

前者はすべての人の記憶は植え込まれたもので世界は5分前に作られたのだという哲学の仮説。

世界五分前仮説 - Wikipedia

後者は「1945年に日本が降伏しなかった」という並行世界に迷い込んだ主人公の物語(この並行世界の時間が5分ずれている)。

五分後の世界 (幻冬舎文庫)

五分後の世界 (幻冬舎文庫)

 

だからって訳ではないけど、いまの自分とは違う選択をした平行世界の自分が、案外近くにいるのではないかと時々思う。その自分がどんな選択をしたかは知らないけどがんばれよ、とも。

 

とりあえず、もう終業時刻が近くなったら右側の5分遅れている時計は見ないようにしようと思う(あやうく信じて保育園のお迎えに遅れるところだった)。